ChatGPTが大学生の課題サボりに使えるか実験

ChatGPTって便利ですよね。最近は情シスの仕事に関してわからないことがネットで調べても出てこなかったらChatGPTに聞くようにしてます。

ただ、教育現場では宿題やレポートを学生が自力で解かなくてもChatGPTで済ませることができるという懸念点があるようです。

果たして本当にChatGPTで課題をこなせてしまうのでしょうか。実験してみました。

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ChatGPTに日本古代史の課題を与えてみた

僕は大学時代は日本古代史の研究をしまして、2回生の入門的なゼミで最初に出された課題を今でも覚えています。

『類聚三代格』という法令に関する漢文で書かれた史料です。その中にある法令について読み下しと意味、その法令が出された理由等をレポートするという内容でした。

漢文で書かれた日本古代史の内容というのは、いくらChatGPTとはいえども難しいのではないかという仮説です。果たしてどうなるでしょうか。

ここで史料の内容を詳細に書いてしまうと、それこそ学生が読んでしまって学習になりませんので、ここからはキャプチャで内容を説明していきます。

まずは史料を入力する必要があるのですがめんどくさいので、ChatGPTが知ってたら入力する手間が省けるので聞いてみます。

なんか理屈っぽく提供できないと断ってきました。これは簡単に答えてしまうと学習の妨げになるとかそういうことでしょうか。

仕方がないので史料の文を入力しようと思うのですが、これで同じように答えてくれなかったら時間がもったいないので史料のタイトル部分を読み下せるか確認します。

まずは読み下してほしいのですが、訳を答えようとしてくれているようです。

様子見で続きの一文を投げてみます。

お、いい感じにやってくれそうです。

「奉 勅」の解釈が少し違いますが、概ね意味は取れているようですね。

では最後まで入力してみます。

ちなみにこの文は「国史大系」に載っているものを使用しており、句読点はそれに従っています。実際には返り点も打ってあるのですが、そこまで記載するとややこしいので省略して記述しています。

結構意味は取れているように思えます。最後にこの法令の解釈までやってくれていてますね。

ちなみに僕はゼミで単純な奢侈禁止令であると答えたら真の意味まで捉えられていないと教授から怒られました。

ChatGPTは「公私の秩序が乱れた」と答えており、かなり近いところまでいっているのですが微妙にニュアンスが違う気がします。

そこで改めて問い直します。

いくつか考えられる説を提示してくれました。1が近い気がするのですが、少しだけ違うような気が……。

この法令のキーワードは「僣奢」です。まずはこれだけで正解に辿り着くかどうか確かめてみます。

ちょっと遠ざかった気がします。「僣奢」は単なる奢侈や贅沢ではなく、”身分不相応な”贅沢のことを言います。

この意味で捉えられれば正解に辿り着けるはずです。ちなみに僕はこの意味で捉えられていたのに正解に辿り着けませんでしたが。

ちょっと停滞している感じがしますね。

そういえば史料の名前は提示しましたが、もしかすると時代背景などは考慮していないのかもしれません。

その情報も付け加えます。

1の回答でほぼ正解と言っていいでしょう。

『類聚三代格』を読む時のポイントは、書かれていることの表面上の意味だけで捉えないようにすることです。

これを単に「身分をわきまえろ」と命令しても効果は少ないです。まずは「贅沢するな」「無駄遣いするな」といった道徳的な命令で相手が身動きを取れなくなったところに真の命令を行うのです。

『類聚三代格』はこのようなプロットの法令が多く、読んでいておもしろいです。もし古代史の史料読解をしてみたいという方は『類聚三代格』がおすすめです。内容は難しいですが。

日本古代史においてもChatGPTは有用だった

日本古代史の課題をChatGPTで解くのは難しいのではないかと思いましたが、一発目で社会秩序のことに着眼している辺りはすごいですし、ある程度意味も取れていましたね。

ただ、読み下しは結局してくれなかったのと、微妙に異なるニュアンスのところがあったりするので、ChatGPTだけで仕上げたレポートでは完璧とはいえず、突かれると綻びはできてしまう気がします。

調べる上でヒントとして使う分には上等だと思います。

より高度な学習へ教育方法を変える必要がある

ChatGPTの使用を制限することは最新の技術に触れる機会を減らすことになりますし、禁止したところで使う人はいるでしょう。

基礎をすっ飛ばしてもいいとは思いませんが、ChatGPTを使って楽をしていいと思っています。活用することを前提にして、より高度な学習を行うようシフトしていくことが求められます。

そのためには教育する側もChatGPTを使いこなせるようにならないとね。ChatGPTが敵だと思うのであれば「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ってなわけです。

ChatGPTを使っていて思うこと

使っていてすごいなと思うのは、前に質問した内容についても踏まえてあとの質問に答えてくれるところ。しかも何も言わずとも関連していると認識しているんですよね。

追加で情報を付け足しながら進められるので、何度も同じ情報を送る必要がないのでとても便利です。

あとすごいのはいい加減な文章でもある程度認識してくれるところ。機械が読みやすいような文章を考えなくてもいいんですよね。逆にこんな文章でいいのかという抵抗もありますが。

ただ、自然言語vs自然言語でのやり取りなので、何を聞きたいか要点をまとめて言語化する力はかなり求められますね。しかもこれは使わないと培われないと思います。

最近あらゆるものにChatGPTの機能が使われていているので、置いていかれないように使っていかないといけませんね。

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